昨日の日曜日は、神奈川県茅ヶ崎市まで出かけて行きました。
というのも、以前からFBで交流させて頂いている宮城社の池上眞吾先生の社中の
おさらい会が開かれるということで、ご案内を頂いたのです。
昨年もご案内を頂いたのですが、昨年は所用があり失礼させて頂きました。
なので、今年初めて聴かせて頂いたというわけです。
茅ヶ崎市には訪れるのも初めてで、どきどきしながら会場に向かったのですが、
駅を出て南側は行けども行けども住宅街で、不安になるような細い路地を抜けて、
ようやく辿り着いたのが会場の老舗旅館「茅ヶ崎館」です。
本当に明治の頃からある旅館で、重要文化財にも指定されている建物でした。
その茅ヶ崎間の和室大広間を会場に、池上先生一門のおさらい会が開かれました。
おさらい会とは本来、
社中(師匠と、師事する弟子から成る団体。一家や一門とも言います)の内輪の会で、
通常は社中関係者とその家族ぐらいにしか声をかけません。
このようなおさらい会を見せるというのは、それなりに葛藤のあることのはずですので
ここにお招き頂いたことをとてもありがたく、誇らしく感じた次第でございました。
プログラムに記載の曲数は全34曲。
奏者はお稽古を始めたばかりの方や子供さんたちから、
上はプロとして活躍中の人まで全て一人弾きで演奏されてました。
そのことにまずぶったまげました。
そして、子供さんに至るまで、もちろんそれぞれの段階はありますけど、
誰一人として、おかしな弾き方をしたり、おかしな音を出したりする人がいなかった。
さすがとしか言いようがありません。
普通、子供さんとかだと、力が無いですから、
押し手の音なんて決まるものではないんですが。。
ぴたっと正確な音程の押し手にびっくりしました。
そんなこんなでレベルの高さに驚いたわけですが、
曲選としては、初伝で習う曲、中伝で習う曲、奥伝で習う曲、皆伝の曲などなど、
いろんな段階で習う曲が順番に出てきて、しばらく聴くことのなかった曲の数々に
懐かしさと、自分の師匠との思い出を思い出しながら聴いてました。
通常、外向きの会では皆伝以上で習うような曲しか出しません。
なので、身内のおさらい会でも無いと、奥伝以下の曲って聴く機会が無いんですよね。
僕も、自分の社中のおさらい会が4-5年前から無くなってますから、
本当に久しぶりに聴く曲ばかりで、懐かしさと、師匠との思い出が胸をよぎり、
なんとも言えない暖かな気持ちで聴かせて頂きました。
曲の合間に出演者を見ていると、まず男性奏者が多いのに驚きました。
そして男性奏者同士が、年齢に応じて兄弟弟子として、兄弟子が弟弟子を見守り、
弟弟子は兄弟子に憧れて、兄弟子の背を追っている様子が伺えました。
僕も小学生の頃は兄弟子に面倒を見てもらいましたし、
大学までは弟弟子がいましたので、かつての自分と重ねあわせてしまい、
懐かしく、そして二度と戻ってこない自分の社中のかつての光景に少し寂しい気持ちと、
ないまぜになったちょっと切ない気持ちで見ておりました。
演奏は1曲7分と決められているそうで、
どんな古典の大曲も7分。それでいて抜粋に無理がなく、
まさにダイジェスト版といった雰囲気で各曲のみどころを網羅できるようになってました。
これはやはり曲を知り尽くし、作曲家でもある池上眞吾先生のご指導の賜物だろうなぁと
ただひたすら驚いていた次第です。
終曲は春陽楽第4楽章「さくら」。
箏2パート、三絃2パート、胡弓2パート、十七絃2パート、尺八2部、打ち物、そして玲琴と
フルパートでの迫力ある演奏に、おもわず鳥肌が立ってしまいました。
宮城社にはたくさんの社中がありますが、
この曲を自社中だけで全パートそろえて演奏できる社中は
そうそうあるものではありません。
うちの社中が最盛期だった30年前でも、無理だったと思います。
それを難なくやってしまえる池上先生のご一門の、層の厚さといいますか、
レベルの高さに圧倒された演奏でした。
おさらい会終了後は、FBで交流させて頂いている静岡の某先生と
そのお弟子さんがお見えでしたので、茅ヶ崎駅近くのお店で軽く会食させて頂きました。
その先生とお弟子さんも男性奏者ということで、
まぁ、男性奏者という繋がりでお付き合いさせて頂いているのですが、
まぁ箏曲の世界では少数派の男性奏者同士ということで、いろいろ共通するものもあり、
思い切り盛り上がってしまいました。とても楽しかったです。
思いがけず懐かしい曲と懐かしい思い出に出会え、
そしてFBでしか交流のなかった方たちと直接ご挨拶でき、
とても充実した休日を過ごすことができました。
お招き頂いた池上眞吾先生に心から感謝したいと思います。