さて。今日の散歩のテーマは、「この地域の本当の地形を知ろう。」です。
東京都内、地面には隙間なく建物が建ってしまっている為、その下の地面がもともとどういう地形なのかはわかりにくい。一件すると、真っ平らな世界に見えなくもない。
だけど、こことて自然に形成された土地。真っ平らなはずはなく、そこには川の流れた跡や小高い丘など、自然由来の地形が隠されているはず。それを体感しよう、というのがテーマ。
まぁ、行き先はいつもの洗足池公園なんですが、いつもとは違う道を通って行きました。
我が家は洗足池の北東に位置する丘陵地帯のてっぺん辺りにあり、いつもはまっすぐ南に斜面を降りて、洗足池の北東端から東に伸びる谷の谷底を歩いて行くのがいつものルート。
今日歩いたルートは、一旦北上し、洗足池へ北の方からぐるっと回りこんで注ぐ別の谷の谷底です。
言葉で説明しても、なんのこっちゃなので地図と地形図を出します。

地図の方に書き入れてる赤線が、今日僕が歩いたルートです。
そして青線が、地形から想像される谷底(=沢)のラインです。
一般の住宅街だったので、写真撮るのがちょっと憚られたため写真はありません。
よく見ると、歩く道は常に周囲よりも低い状態。交差する道路の左右を見ると、常に上り坂という地形から、ここがもともと沢地だったことがよくわかります。
一番わかり易かったのが、大井町線を潜るアンダーパス。
線路に急傾斜は付けられませんから、ここの線路の高さは、我が家のある丘陵地帯のてっぺんあたりと同等。
そして、僕が歩いた道路と線路との標高差は5-6メートルといったところでしょうか。
そして、最近になって知ったことですが、この手の沢地を埋めて作った道路につきものなもの。
道路に添って一定の間隔で口をあけるマンホール。見ると「合流」と書かれています。
これは雨水と汚水を一緒に流してしまう下水管で、今は新規に作ることが認められてませんが、下水道が作られ始めた初期によく作られたタイプだそうです。
そしてここ東京では、生活排水をもともと川に流してました。
排水が流れ、ドブ川となって悪臭や害虫の問題が生じると、人々は川にフタをし、その上に道路を作ってしまったのです。
つまり、この「合流」と書かれたマンホールは、「下水道」という名の地下のドブ川への入り口なのです。
地下に埋められ、無かったことにされた川が封印されているところなのです。
そして、こういった谷底、地下水の集まる場所では必ず、そのマンホールから水の流れる音がします。それもかなりの勢いで流れる水の音が。
ここは間違いなく谷底なのです。そしていまも、地下では川が流れてるのです。
ちなみに、こういった傾斜地、しかも地下水の豊富な地域だと、大地震が起きた時に地すべりを起こしたり、液状化したりするリスクがあります。
一見すると・・ というか、地形を意識して見る習慣のない人には、何の変哲もない平らな住宅地に見えるかもしれませんが、ここは谷底。周囲からいろんなものが流れてくる場所なのです。
知らないでこういうところに住んでる人は怖いですね。
話を散歩に戻します。
大田区の千束特別出張所のところで道を左に折れると、すぐに道の左側に小川が現れます。そこに流れる水はとても清らかです。
この小川はこのまま洗足池に注ぎます。水質が悪く、濁り水の洗足池に比べ、この小川の水はとても綺麗です。
この小川は、確か清水窪というところの湧水が流れてきているものだと聞いたんですが、僕が今日辿ってきた沢は清水窪に続く沢ではありません。
清水窪は、上の地形図で言うと、左側・西側の北へまっすぐ伸びる沢の先にあります。
地形図をよく見ると、千束特別出張所のすぐ西にちょっとした丘が見えます。
想像ですが、北から来た清水窪の流れは、この丘を避けて左に蛇行し、今日僕が通ってきた沢と、それこそちょうど出張所のあたりで合流して、そこから下流の洗足池に注いでいたのかもしれません。
もっと言うと、もともと洗足池もこの谷のもっと南、中原街道のあたりでせき止められてできた池で、街道より南にもこの谷は続いてるので、この「清水窪の沢」こそが、この洗足池一帯の谷の本流なのかしれません。
ちなみに池より南は現在、「洗足流れ」という小川が細々と流れ、さらに本流である呑川へと注いでいます。
なので、この「清水窪の沢」は、おおもとは呑川の支流の一つだったであろうことが想像できます。
今度、時間があったら、この「清水窪の沢」を遡ってみたいと思います。
もともと僕は、実は高校時代理科の選択で地学を取ってたくらいに地学は割と好きなので、こんな風に地形を想像しながら散歩するのも楽しいなー、と再発見した一日でした。
<2012/05/20 追記>
洗足池から東に続く方の谷の写真を撮って来ましたんでアップします。
上の地形図だと、画面右下を横切っている谷ですね。

奥の横断歩道、そして人が立ってる辺りが谷底になって、手前側と奥側が高台になってるのがわかりますか?
一見するとただの住宅街なんですが、ここも洗足池に注ぐ谷の一つなのです。