僕が囚われていたモノ。

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道は海辺の平坦な道を進みます。
道端には、あちこちにすすきが生え、秋の雰囲気が漂います。

やがて道は踏みつけ道から砂利道になり、そして舗装道路へ。
その先に小さな集落がありました。

鉄府というらしいその集落は、鮑古丹と違い、ちゃんと定住する人たちがいました。
人の住む場所ですから、こんな住人も。(笑

声をかけても、眠そうな目でこちらを見返すばかり。

塀の上ではカラスまで休んでいる始末。(^^;
なんとものどかな漁村のひとときでした。

集落を抜けると、港を右手に見ながら、再び道なき道を登山です。

のこぎりのような岩肌に、相変わらず信じられない透明度の海です。


道は急勾配で続き、ふと気づいて振り返れば、これまで歩いてきたゴロタ岬から鉄府の入江にかけてが一望できました。

道はしばらく尾根伝いに続き、次の入江に向かって下っていきます。

 

そしてたどり着く集落が西上泊です。
ここには立派な道路が通じており、大型バスが止まれる駐車場と売店、トイレが整備されてます。
なぜなら、ここには礼文島西海岸有数の名所、「澄海湾」があるからなんですね。

その澄海湾がこれです。

天気が良ければ、澄みきったエメラルド色の海が見られることでしょう。

さて。ここ西上泊の集落から先は道が分岐しています。
さらに海岸沿いに南下していく8時間コースと、船泊方面に戻るルートですね。
この時点で時刻は15時を回ってます。

ここから内陸方面に進路をとり、船泊方面を目指すことにしました。
道は立派な2車線の舗装道路。時たま大型バスが通りぬけます。

恐らくツアーとかだと、スコトン岬とここ澄海岬だけを回って、香深方面に戻っていくのでしょう。
4時間コースを踏破しつつある僕から見れば、なんと勿体無い見方なのだろうと思います。
わざわざこの最果ての島まで来ていながら、たったそれだけしか見られないなんて。感じられないなんて。

沿道には小さな花がいろいろと咲いてます。そして道を一歩外れれば、あとは人工物の一切ない草原です。

 
 

人間なんてものが、いかにちっぽけな存在か、肌で実感できる光景です。
人間もまた、自然のごくごく一部に過ぎないんだって、わかります。

そう感じた時に、ここ1ヶ月ほど僕が囚われてた歪んだ自尊心とか、虚栄心とか、こだわりとか、そういうものがいかにくだらないものだったかが分かった気がしました。

僕はこの大地で生まれ育った道産子です。
この大地の欠くべからざる一部です。
この大地に生きる一つの命です。

それ以上、何を求めるというのでしょう。何が欲しいというのでしょう。

つまらないことにこだわるのはやめよう。
この大地に生まれた者として恥ずかしくない生き方をしよう。
そう改めて心に決めました。

そんなことを考えるとはなしに考えつつ歩いていたら、気づいたら浜中の集落に出ました。
夏ダイヤであれば、16時台のバスがここ浜中のバス停に停車するんですが、もはや秋冬ダイヤになってしまっているバスは、ここからさらに20分ほど歩いたところにある、船泊の病院前のバス停までしか来ません。

なので、もうひと踏ん張り。病院前のバス停から香深行きのバスに乗り、香深に戻りました。

香深に戻ったら、早速ホテルにチェックイン。
お部屋はツインの部屋を独り占めでした。この日は温泉にゆっくり浸かり、早々に寝ることにしました。
<つづく>

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