室蘭市が、公共施設のあり方について市民の意見を集めています。
正式なパブリックコメントではないようで、個別に回答はしないとありますが、行政に声を届ける機会です。
この中で、文化センターが、将来的に廃止を検討するの「優先順4グループ」に位置づけられています。
それについて、僕が問題と感じる部分をいくつか挙げます。意見を送る場合の参考にして頂けたらと思います。
1.「集約の可能性」がYesになっていること。
この基準は、「市内に同じ機能を提供する施設がある」と判断されていることを示しています。
その「同じ機能を提供する施設」は、輪西町の市民会館と思われます。
ですが、市民会館は500席の小規模なホールであり、舞台も狭く、「演劇」「バレエ」「大編成の吹奏楽」「フルオーケストラ」などの公演は実施できません。これらは現在、文化センターで実施されています。
市民会館で文化センターの機能を代替できると判断するとしたら、「武揚体育館があるから、同じ体育館である総合体育館は必要ない」と判断されてないとおかしい。でも、体育館は皆さんご存知のとおり、今の文化センターのような存廃の検討がされることもなく、当たり前のように立派な施設が建ちました。体育館は建てるのに、ホールは無くす。これは文化を軽視しているように見えます。
文化センターを廃止すると、先に挙げたような舞台芸能を室蘭で行うことができなくなり、市民の鑑賞の機会を奪うことになります。それは、室蘭市の文化レベルを押し下げることになり、室蘭市の魅力を大きく損なうことにもなり、将来の人口減に拍車をかけかねません。
2.「建て替えありき」の議論になっていること。
冒頭から「この先2040年までの約20年間において、建て替え時期を迎える公共施設」と書かれています。何故、建て替えありきなのかが理解できません。
文化センターは数年前に大ホールをリニューアルしており、リハーサル棟に至っては新築したばかりです。長寿命化を図り、これからも必要な補修を行いなから使い続けることが、最小限の負担で出来る限り今ある機能を維持することに繋がるのでは? と思います。「建て替え」か「なくす」かといった極端な二択ではなく、「今あるものを大事に使い続ける」という第三の選択肢も真面目に検討するべきと思います。
まとめ
今後の室蘭市の財政を見通した場合に、文化センターのような大型施設は、一度廃止してしまうと、二度と作ることはできません。
その選択を、超短期的な収支だけで判断していいのか。将来の市民が文化芸術にふれる機会を、今の私たちが奪っていいのか。じっくり考えることが必要と思います。
そして、何でも壊して建て替えるのではなく、使えるものは直して使う、という当たり前のことをやって行かないと、このまちからは何も無くなってしまう。
「建て替える」か「なくす」かの二択を市民に迫るような問いかけ方ではなく、どうすれば今ある機能を最小限の費用で維持できるのか、を市民と一緒に考えていく姿勢を、行政は持って頂きたいなと切に願います。