日本最北の鉄道

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朝は5時半に起床。
前夜に調達したあんパンの朝食を取り、ホテルを6:30にチェックアウト。
目的地の予報は良くないはずだが、札幌の天気は悪くない。

北海道内の特急の自由席争奪はシビアだ。
何しろ移動時間が半端じゃないので、座り損ねるとダメージがでかい。

なので、指定席が取れなかった時に、確実に座りたいと思えば、1時間以上前からホームで並ばなければならない。

この日、僕は指定席を取り損ねていたので、6:45頃から札幌駅の7番ホームで並ぶ羽目に。
しかも、1時間以上前だと言うのに先客がいた。(^^;

そして30分前の段階で後ろを見てみれば・・ すでに20人以上の行列が。
やはり僕の読みは正しかった。30分前でいいやと妥協したり、10分前に来たりしたら、座れなかった。
そうかと思うと、僕の前に並んでいた男性の連れと思しき人が登場。
どうやらお父さんが一家を代表して、妻子の為に並んでいたらしい。献身的なものだ。
改めて、一人身の気楽さと同時に孤独を噛み締める。

7:30過ぎ、案内のアナウンスが響き、ホームに列車が入線してきた。

JR北海道キハ261系特急気動車 0番台の4両編成。
JR北海道が誇る特急型気動車のうち、空気バネ方式の車体傾斜機構を備え、最高速度130キロを誇る最新車両だ。

札幌と最果ての地 稚内を5時間41分かけて結ぶ特急スーパー宗谷1号。それが僕の乗る列車だった。
ドアが開くとすぐに乗り込み、左側の窓側を確保する。

実はこの261系に乗るのは初体験だった。
特急気動車だと281系や283系にはよく乗るのだが、なにぶんこの261系は、スーパー宗谷と、帯広行きのスーパーとかちにしか使用されていない。
内部は、裾絞りの少ない車体のせいか283/281系よりもやや圧迫感を感じる。

定刻7:48に札幌を出発。列車は函館本線を滑るように北上する。
車窓に見えるのは石狩平野の田園風景。

 

そしてだんだんと山が近くなって来て、石狩平野の終わりを告げる。
トンネルをいくつか潜ると、再び開けた土地に出る。そこは上川盆地。
石狩川を渡ると、すぐに旭川駅。

旭川駅から先は、いよいよこの旅の目的の一つ。日本最北の鉄道路線「宗谷本線」に入る。
この「宗谷本線」は全長259.4kmで、国内の地方交通線としては最長を誇るらしい。

戦前は稚内から稚泊航路を利用し樺太に至る大幹線として、おおいに賑わっていたというこの路線も、現在はただのローカル線の扱いである。

沿線はどんどん田畑も減り、徐々に原生林の雰囲気が強くなる。

 

やがて名寄駅を過ぎたあたりから、北海道第3の大河・天塩川に沿って線路は北上を続ける。

 

この天塩川、非常に流れが緩やかな様子で、場所によっては蓮の葉が浮いている場所もあるほど。
かつてこの川が水運の要であったと聞くが、なるほどこのゆるやかな流れであれば、川船が行き来するのは容易であったろうことが想像できる。
むしろ道路の無かった時代、熊や鹿が出る山林を抜ける危険を犯すよりも、川をたどる方が遥かに安全で早かったに違いない。
かつて山々から切りだされた木々で筏が組まれ、遠い河口の天塩の港まで川を下っていただろう光景を想像しながら車窓を眺めてると、やがて線路は川から離れ、果てしない草原を抜けていく。
そして草原の向こうに、雲に隠れながらも微かな山陰が見えてくる。

利尻富士だ。

利尻富士は俗称。正式には利尻山というらしい。北海道の北端からやや北西に浮かぶほぼ円形の島・利尻島の主峰で標高は1721m。
これだけの大きさの山が海から突然ニョッキリ生えてるのだから、遠くからもよく見える。
この山が見えれば、稚内はすぐそこだ。

そして列車は木も生えぬ丘を越え、12:30過ぎに最北端の駅・稚内へと到着した。 (つづく)

 

  

<2012/09/15 午前中の移動経路>

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