組織運営の上で大切なこと

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 1ヶ月ほど前に、とある団体の理事会と総会に出席しました。そこで、「これはちょっと・・・」と思いつつ、「でも、いろんな団体でも起こり得るよな」と感じたので、文章にしておこうと思います。

 その団体は、団体が複数集まった「連合」のような組織体で、各構成団体から理事が1名ずつ出て理事会を構成しています。で、総会には各団体の代表も含めて、会員なら誰でも出席できます。

 その団体で、年度変わりのタイミングで、事務局のコピー機が故障し、買い替えたらしい。三役会で議論したらしいんだけど、理事会にも、もちろん総会にもかけることなく。

 そのコピー機の価格は、その団体の年間予算規模の1/4にも達するもので、別途積み立てている基金から一般会計に繰り入れて買ったとのこと。

 それについて、「事後承諾になってしまってごめんなさい」も無く、「新しい機械を導入することで、作業が楽になって、業務も効率化されて」という説明が先に出てきたので、流石に理事会の場で僕は発言しました。

「年間予算規模300万の団体で、当初予算にはない75万もの支出を、理事会にも総会にもかけずに執行したというのは、緊急性は理解するが、手続きとして、如何なものか」と。

それに対する返答は、「そういう意見が出るとは思ったが、時間が無かった。買ったことで作業が楽になった。業務が効率化された」という説明が繰り返されたため、僕以外の理事も声を上げて、結果、理事会が少々荒れました。

 これって、組織運営上大問題だと思います。
 もちろん、組織運営に支障をきたすような大問題が生じたときに、ある程度、会長の専決でその支障を取り除く、というのは、必要とは思う。
 でも、それが何にでも適用されてしまうと、組織がトップの私物になってしまう。だから、それを防ぐためにチェック機構として理事会なり総会があるわけで。
 本来は予算にない支出をするなら、「補正予算」を理事会と総会にかけて、承認をもらわないと、やっちゃいけないことなはずです。でないと、期初にどんなにしっかり予算を審議しても、後からひっくり返し放題ってことになってしまう。

 それを、あっけらかんと、「やっちゃいました。」「おかげで楽になりました」というのが先に出てくる組織運営というものに、ちょっと危機感を感じたんですよね。

 緊急事態というものは起きるので、組織運営上どうしても必要なものを、会長が相談できる役員に相談した上で専決するというのは、致し方ない場合もあり得る。でも、その場合はできるだけ早く理事会なり総会を招集して、『これこれ、こういう理由で、やむを得ない判断としてこういう決定をしました。事後で大変申し訳無いが、承認して頂けないか』と諮るのが筋だと思うんですよね。

 そして1週間後の総会では、事務局からの説明として、「事後承認になってしまい、申し訳ありませんでした。」という説明があったので、思うところは通じたかと、ほっとしたところでした。

問われる事務局の役割

 僕もいろんな団体の事務局を担当しており、また本業も「事務局」なので、我が身に振り返って肝に銘じた部分なんですが・・・。

 事務局はルールを網羅して、きちんと運営できなきゃいけない、ってことです。そこがブレると、民主的ではない組織になってしまう。

 どんな組織にも、定款だったり会則だったり規約だったりというルールがあります。組織としてなにか決定するには、どういう手続きを取らないといけないのか、決まっています。

 そのルールを、事務局は絶対に曲げちゃいけないってことです。事務局も、役員も、会長や代表だって、全てそのルールの範囲で権限を認められている。ルールを破ってはいけない、ということです。
 ルールと違うことをしたいなら、それを「例外」として認めるか、ルール自体を変えるか。いずれにしても、会長も代表もやってはならなくて。もちろん事務局もやっちゃダメで。最高議決機関である総会で承認してもらうしかないんです。それが民主主義ってものです。
 もしもリーダーがルールと違うことを「リーダーは俺なんだから何をやってもいいんだ」と言ってやろうとしたなら、事務局はルールを説明して、「やっちゃダメ」と言わなきゃいけません。「それをやるには、こういう手続きが必要です。」と言って、段取りをしなければなりません。
 リーダーは、「そんなの面倒くさいし、そんな時間はない」というかもしれません。でも、そのプロセスを経ずにリーダーが決めてしまったら、それはもう独裁です。

 事務局は、リーダーを独裁者にしないための第一関門なんだってことを、事務局を名乗る人はみんな自覚しないといけないでしょうね。

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