地域医療についていろいろ

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昨年末受診した健康診断で気になる記述があり、地元の開業医に受診したんですが、その時いろいろと感じたことがあったので、書き残しておきます。

健康診断での指摘

さすがに40歳近くなるとあちこちガタが来るようで、これまでオールAだった僕の健康診断結果も前回あたりからいろいろと指摘されるようになってきました。

中でも気になったのがバリウム検査の結果。
実は前回も「ポリープの疑い」と書かれたのを1年間放置してきたんですが、これが今回「ポリープ(多発)」とか書かれて来たもので、慌てたわけです。

実はうちの従兄が5年ほど前に胃ガンで死んでまして。
しかも自覚症状がほとんど無かったそうで、発覚した時にはすでにステージ4。もはや手術もできない段階でした。僕より5歳くらい上だったはずなので、当時40前後だったはず。。
(詳細はこの記事「新篠津の従兄のこと」も参照ください。)

自分もそういう歳にさしかかってきたというのは間違い無いですしね。
別に明日死んでも悔いは無いように生きてますが、それでも予め避けられるものは避けたいし、自分の身体の状態を正しく知ることは大切です。

そんなこともあり、今年は検査に行ってみることにしました。

病院選び

最近は、病院に行こうと思っても、その病院がなかなか無い時代です。

幸いにして室蘭市内には3つの総合病院がありますが、総合病院は基本的に土日は外来受け付けてません。
そして、基本的に総合病院は、かかりつけ医の紹介状無しでかかると、特別料金が課せられます。これは、症状を対して調べもせず、「とりあえず大病院に行けば安心」と思って大病院にかかる人が増えて、大病院が近年大混雑しているのを緩和させるためと聞いています。
まずは「かかりつけ医」に相談して、「かかりつけ医」が手に負えないと判断したら、初めて紹介状をもらって大病院に行く、というのが今求められている動きというわけです。

というわけで、まずは自宅近くの開業医の先生のところに行ってみることにしました。幸い、自宅近くで開業している医師は内科、特に消化器内科を専門とする医師です。

一回目の診察

昨年末、1回目の診察に訪れたのは土曜日の午前中です。
大病院だと土曜日は休診のところがほとんどですが、個人開業医の多くは午前中開けてくれているところが多いので、そういうところもサラリーマンにとってはありがたいです。

朝9時に行ってみると、冬場だからか待合室にはすでに10人くらいの患者さんが。でもここの先生の診察は非常に早いので、あっと言う間に順番が来ます。

あ、補足ですが、「診察が早い」のは決して「雑」なわけではありません。
聴診器ひとつ当てるのにも服の上から当てることで、服の脱ぎ着の時間を省けてますし。(聞こえが悪ければ、たぶん脱がすんだと思うんですが、普通は必要ないんでしょうね。)電子カルテや各種先端機器を鮮やかに使いこなし、超高速で患者さんを診察して行きます。
体調が悪い時の診察待ちや、長くかかる診察は負担が大きいので、スピーディな診察は本当にありがたいですよね。

そんなこんなで僕の番です。
持参した診断結果を見せて相談。

「気になるのはやっぱり胃の部分だよね? 肝臓の数値は、やや高いけど注意して生活すれば支障ないレベルだし。」

一瞥してすぐに先生が言うわけです。

「胃も見間違えとかが多いんで大丈夫だと思うけど、心配でしょうから一度胃カメラやっておきましょうか。」

「お願いします!」

「じゃあ隣で予約して行ってね。お大事に。」

この間。たぶん3分かかってないです。(笑)
その後、胃カメラ検査の日程決めて、注意事項の紙をもらって、その日は終了。
しかも、帰りがけに支払いしようとしたら、
「今回は予約だけですんで支払い無しです!」
と言われて目パチクリ。(^^;

いや、先生と問答したでしょうよ。あれ診察だからお金かかるでしょうよ。
先生良心的すぎるよ。と思いつつ、この日は病院を後にしました。

第2回診察(胃カメラ)

そんなこんなで、実は生涯初の胃カメラ検査なわたくし。
若干緊張しつつ、言われた通りに朝食を食べず、病院に行きました。

さすがに胃カメラ検査は土曜日というわけには行かないらしく、仕事は半休もらっての平日受診です。

予約していた9時に病院に行くと、前回同様10人ほどの患者さんが。
その中、僕は内視鏡室に呼ばれて事前処置を受ける。いろいろ飲まされたり、注射されたり。そしてしばらく待つと先生登場。

どうやら待合にいた患者さん10名ほどを30分ほどでさばいて来た様子。(^^;
で、簡単に説明を受けたあと、鼻から胃カメラ挿入。

鼻の奥の粘膜が胃カメラの管でこすれる感覚がやや不快でしたが、痛みはほとんどなく、快適な受診でした。モニターに映る映像も鮮明です。

「(焼き肉の)ホルモンみたい。」とか思ったのは内緒です。(笑)
いや、モノは一緒ですし、間違いではないですよね。(笑)

ひとしきりカメラを操作して、何箇所かを撮影し、最後に

「ピロリ菌の検査したことある?」

「ないです。」

「じゃあついでにやっちゃうから。」

と言うや否や、胃カメラにワイヤーのような器具を挿入する先生。どうやらそのワイヤーの先で胃壁を掴んでぶっちぎるらしい。(^^;
痛みがあるのでは? と身構えたけど、全く痛みもなく。無事検査は完了。

完了後20分ほど待って、その後結果説明。特に気になる点は無いとのこと。胃壁のヒダの一部かポリープか分からない程度のモノと、軽い慢性胃炎があるようだとの診断でした。
また、ピロリ菌検査は時間がかかるということで、後日改めて聞きに行くことになり、あとは代金支払って完了しました。

9時に病院に行き、10時半には終わり。実に1時間半の検査でした。

地域医療についてあれこれ

ここからは考察になります。

実は僕は、仕事で医療介護関係も担当していて、室蘭市内の地域医療の実情等もある程度調べています。そこも踏まえて考察します。

まず、地域の開業医は一昔前では考えられなかったほど設備が充実しています。それを強く感じました。胃カメラなんて大病院行かないと出来ないと思ってましたからね。

昔の町医者だったら、レントゲンがあればいい方で、胃カメラなんて無かったし、診察も聴診器当てる程度で、正直そこまで信頼できる感じはしませんでしたが・・・(失礼。)今の開業医は本当にいい設備を持ってます。

そして、信頼できる開業医だったら、大病院に行くよりも楽ですし対処も確実だと言うことです。

今、大病院は勤務医の確保が難しくなってきていて、札幌や旭川の医大から出張医を派遣してもらって維持しています。
出張医・派遣医ですから、当然毎日診察という訳にも行きませんし、その貴重な来蘭のタイミングに、大病院ならではの手術や精密検査もこなさなければなりません。おそらく外来にそこまでリソース割ける状態じゃないと思うんですよね。
その僅かな外来の時間を、大勢の患者が取り合う形になる。だから待ち時間3時間、診察3分みたいな話になるんじゃないかと思います。

今回の僕の一連の受診では、1回目の診察で1時間。2回目の検査&診察で1時間半しかかかってません。
同じことを大病院で受けようとしたら、1回目で半日。2回目は検査で半日、診察受けるまで半日で丸一日仕事になったことは想像に難くありません。
しかも、大病院だと毎回同じ先生が見てくれるとは限らない。そう考えたら、毎回同じ先生が見てくれる開業医の安心感って、かなりのものと思います。

そう考えると、「どうせ見てもらうなら設備の整った大病院で」と考えがちではありますけど、その考え方は古くて、「まずは地元の開業医へ。そこで手に負えなければ紹介状書いてくれるので、それ持って大病院へ。」が、患者の立場としても楽なんじゃないかと実感したところです。

誤解があってはいけないのですが、僕は決して大病院を批判しているわけでも、低く見ているわけでもありません。大病院にしか無い設備、できないこともたくさんありますし、大病院から大学病院に紹介していただくというルートも、とても大切です。
でも、開業医が「できる範囲」が、昔とはまったく違うレベルで広がってますので、開業医と大病院の「役割分担」について、患者側も改めて考え直す必要があるんだと強く感じました。

たぶん、救急車で運ばれるレベルの急病・重病でない限りは、「まず地元の開業医(かかりつけ医)」でいいんじゃないかなぁ、というのが僕の結論です。

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